13世紀の初め、現在のトルコ南岸に、アランヤという港町があった。地中海に突き出した岩山の上に城塞がそびえ立ち、ビザンツ帝国の南の守りを固めていた。この町を治めていたのは、「テクフル」と呼ばれる総督アルギレス。彼にはエレニという一人娘がいて、その美しさは海岸沿いの街々にまで知れ渡っていた。
しかし、アランヤは恐怖の中にあった。ヴァシリという名の海賊が絶え間なく海岸を襲い、船を奪い、村を焼き払っていた。あらゆる手段を尽くしても被害は止まらない。追い詰められたアルギレスは、ある残酷な決断を下す。自分の娘エレニを海賊に嫁がせ、平和を買おうとしたのだ。父にとっては苦渋の外交だった。しかしエレニにとって、それは死刑宣告に等しかった。
父が知らなかったことがある。エレニの心は、すでに別の人のものだった。城の下に広がる丘で羊を飼う、貧しい羊飼いの青年。身分の違いも、財産の有無も、二人の間では何の意味も持たなかった。静かで、しかし揺るぎない愛だった。
「ヴァシリとは絶対に結婚しません」——エレニはきっぱりと言い放った。父は激怒し、彼女を城の地下牢に閉じ込めた。「石の上にも三年」ということわざがある。アルギレスは、時間が娘の意地を砕いてくれると信じていた。だが、エレニの忍耐が生み出すものは、父の想像をはるかに超えるものだった。
牢屋にはたった一つの窓があった。その窓からは、ダムラタシュの白い砂浜と、果てしなく広がる地中海が見渡せた。この美しい景色がいずれ娘の心を折るだろう——父はそう踏んでいた。だがエレニは屈しなかった。昼も夜も泣き続け、その涙は窓の下の荒れた斜面に、音もなく落ちていった。
すると、信じがたいことが起きた。涙が染み込んだ場所から、大地が目を覚ましたのだ。月桂樹が岩の隙間から芽を出し、ザクロの木が枝を伸ばし、銀色の葉を持つグミの木が光を浴びて輝いた。城とダムラタシュの間の、何も生えたことのない斜面が、少しずつ緑に覆われていった。まるでエレニの悲しみこそが、この渇いた土地がずっと待ち望んでいた雨だったかのように。
今でもアランヤに雨が降り、月桂樹の香りがあたりに漂うと、人々は祖父母から受け継いだ同じ言葉をそっとつぶやく——「エレニがまた泣いている」と。叶わなかった愛のために、彼女の魂は今も涙を流し続けている。そしてその涙が落ちるたびに、この土地はまた少し、緑を深くしていくのだと言う。
